防衛株が上昇する背景とは?

地政学リスクと防衛株の関係
防衛株が短期間で急騰する最大の要因は、地政学リスクの高まりです。
戦争や紛争、国際的な緊張がニュースとして流れると、投資家は「安全保障関連に資金が集まる」と予測し、防衛関連銘柄に資金が流入します。
このような「地政学リスク=防衛株買い」という構図は、株式市場の典型的な動きです。
短期的には思惑先行の値動きとなり、急上昇・急落のボラティリティが発生しやすくなります。
戦争・緊張ニュースで株価が動く仕組み
例えば、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化では、日本の三菱重工業やIHIといった防衛関連株が短期間で大きく値上がりしました。
これは「防衛予算が増えるのではないか」という期待買いが一気に膨らむためです。
戦争終結後、防衛株は下落する?それとも続伸する?

過去の事例から見る防衛株の短期調整
戦争が終結すると、防衛株に集まっていた「短期資金」は抜けやすくなります。
ニュースが出尽くすと材料がなくなり、株価が調整するケースが多いのです。
実際に湾岸戦争の終結や冷戦終結の局面では、防衛株が一時的に下落する場面が見られました。
防衛株の将来性を決める要因は何か
しかし、これはあくまで短期的な動きです。
防衛株の本質的な価値は「戦争の有無」よりも「国家の防衛予算」によって決まります。
短期的には戦争関連ニュースで上下しますが、中長期的には国の政策・予算の方向性が株価に影響します。
防衛株の本質は「防衛予算」〜長期トレンドの見通し

日本の防衛費拡大(GDP比2%目標)
日本政府は防衛費を段階的に増額し、2027年度までにGDP比2%を目標とする方針を打ち出しています。
これは現在の規模から大幅に増える計画であり、長期的に防衛関連企業の業績を支える基盤となります。
世界の軍事費と防衛産業の今後
米国は世界最大の軍事費を維持しており、欧州もウクライナ侵攻を機に防衛費を拡大中です。
サイバー防衛や宇宙開発など新分野も含め、グローバルに防衛産業は拡大傾向にあります。
戦争が終わっても「防衛力強化」という流れは逆戻りしません。
防衛株の投資戦略と今後の注目ポイント

短期投資:戦争リスクでの急騰に注意
短期的には「戦争や緊張のニュース=防衛株急騰」というパターンが繰り返されます。
ただし、この値動きは急落リスクも大きく、初心者が高値掴みをすると損失を抱えやすい点に注意が必要です。
長期投資:国策に沿った成長テーマとしての防衛株
長期で見れば、防衛費拡大という国策に支えられるため安定的な成長が期待できます。
特に三菱重工業(7011)、IHI(7013)、川崎重工業(7012)といった基幹企業は、防衛装備の中核を担っており将来性が高い銘柄といえます。
防衛株おすすめ注目銘柄リスト【将来性を比較】
銘柄名 | 証券コード | 主力分野 | 予想PER | 配当利回り | ポイント |
---|---|---|---|---|---|
三菱重工業 | 7011 | 戦闘機・ミサイル・艦艇 | 約15倍 | 約2.0% | 日本の防衛産業の中核。次期戦闘機開発でも中心的役割 |
IHI | 7013 | 航空エンジン・宇宙関連 | 約17倍 | 約2.0% | 航空機エンジン、防衛・宇宙需要が長期成長テーマ |
川崎重工業 | 7012 | 潜水艦・航空機 | 約14倍 | 約2.2% | 潜水艦分野での技術力が強み。日本政府の受注期待大 |
NEC | 6701 | 防衛システム・サイバー防衛 | 約16倍 | 約2.0% | サイバー防衛や通信インフラで需要拡大中 |
富士通 | 6702 | レーダー・通信システム | 約18倍 | 約1.8% | IT・通信と防衛の融合分野で長期注目 |
※数値は目安。実際の投資判断は最新のIR・決算資料をご確認ください。
初心者向けQ&A|防衛株の買い時・見通し

防衛株は戦争がないと上がらない?
いいえ。防衛株の将来性は戦争ではなく「防衛費拡大」という国策に支えられています。
戦争がないときでも予算が増えれば株価にプラスです。
防衛株の今後は短期と長期どちらで見るべき?
短期ではニュースに反応して値動きが激しいため、トレード経験者向け。
初心者は長期の成長トレンドを重視した投資がおすすめです。
防衛株を買うタイミングのコツ
戦争リスクで急騰した直後は高値掴みのリスクが大。
むしろ「材料出尽くし」で株価が調整したときが狙い目です。
まとめ|防衛株は「戦争」ではなく「国策」で動く
- 短期的には、戦争終結後に防衛株が調整するリスクあり
- しかし長期的には、防衛費拡大という国策に支えられるため将来性は高い
- 防衛株は「戦争があるから上がる」のではなく、「国策があるから伸びる」

つまり、防衛株は戦争が終わっても「終わり」ではなく、国策テーマとして長期的に注目する価値がある分野だといえるでしょう。