「9月・10月は株が下がりやすい」——投資家なら一度は耳にしたことがあるでしょう。
2025年の秋は、その典型的なパターンに加え、制度信用の期日売りという大きな需給要因が重なります。特に4月の「トランプ関税ショック」で安値を拾った投資家たちの決済期日が一斉に到来し、利確売りが相場を直撃する可能性が高いのです。
本記事では、なぜこの時期に日経平均が下がりやすいのか、その背景と下値目処、そして投資家が取るべき戦略について詳しく解説します。
なぜ9月・10月は日経平均が下がりやすいのか?

制度信用取引の「6か月ルール」
- 制度信用取引は建玉から6か月以内に決済しなければなりません。
- 4月下旬に買い建てた投資家は、9月下旬〜10月に期日を迎えることになります。
利確売りの集中
- 含み益を抱えた投資家は期日到来前に利確売りを出す
- 結果として、需給が悪化し日経平均に下落圧力がかかる
季節的アノマリー
- 過去の統計でも「9月は株安の月」とされる
- 海外投資家の持ち高整理や決算前のポジション調整も要因
過去データが示す9月・10月の弱さ
- 過去20年の日経平均の月別騰落率をみると、9月は下落傾向が顕著
- 米国市場でも9月は「魔の月」と呼ばれるほど調整局面が多い
- 日本市場は海外資金の影響が大きいため、米国株安と連動しやすい
2025年の特殊要因
- 4月「トランプ関税ショック」で日経平均は急落 → 安値で信用買いが急増
- その建玉の決済期日が秋に集中
- さらに直近では日経平均が42,000円を割れ、高値警戒感が一気に広がった
- 米FRBの利下げタイミング、地政学リスクなど外部要因も重なり下落圧力が強まる環境
日経平均の下値目処はどこか?
- 41,000円:直近の安値水準、最初のサポートライン
- 40,000円:心理的節目かつ過去の支持線
- 200日移動平均線(約39,800円前後):長期トレンドの分岐点
信用期日売りが一巡すれば、需給が軽くなり反発余地が出るのも特徴です。
投資家が取るべき戦略
短期投資家向け
- 信用期日売りが集中するタイミングを狙って押し目買い
- 急落局面は「恐怖で売られる安値」を拾うチャンス
中長期投資家向け
- 分散投資で下値を拾う戦略
- 一気に買わずに、41,000円 → 40,000円 → 200日線と段階的に買い下がる
信用取引ユーザー向け
- 需給悪化を見越して短期的な空売り戦略も有効
- ただし、反発局面では踏み上げリスクがあるため逆指値を徹底
まとめ
- 9月・10月は制度信用の期日売りが集中し、日経平均は下落しやすい
- 今年は4月のショック後に積み上がった信用買い残が重石になる
- 下値目処は41,000円、40,000円、200日線付近
- ただし、期日売りが一巡すれば反発のチャンスも訪れる
秋相場は「恐怖とチャンスが同居する季節」。冷静に需給とテクニカルを見極め、戦略的に立ち回ることが大切です。